Musicadentro

第77号 (27/08/2006)

まだまだ残暑が厳しい日が続いていますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回は Stadio 初となる2枚組ライブ盤をはじめ、この初夏にリリースされた作品を中心にお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Parrucchiere

Stadio / Canzoni per Parrucchiere Live Tour (2006) EMI/Capitol, 0946 366436 2 5. (全32曲)

ベテラン・ロック・バンド Stadio のライブ盤としては2作目となる今年3月に Teatro Gentile di Fabriano で行なわれたライブの模様を収録した2枚組のニュー・アルバム。メンバーは不動の Gaetano Curreri (vo, key), Giovanni Pezzoli (ds), Andrea Fornili (g), Roberto Drovandi (b) の4名に、サポートの Fabrizio Foschini (p, org, key) と Maurizio Piancastelli (trump, horn, perc, key, cho) を加えた6人編成となっています。Disc 1 の冒頭に Stadio らしいほのかな哀愁を感じさせるミドルテンポのスタジオ録音の新曲 "Fammi stare con te" を配し、最新作の "L'amore volubile" のラストを飾る叙情的なインスト・ナンバー "Senza parrucche" でライブ本編の幕を開けます。近作 "L'amore volubile" "Occhi negli occhi" からの曲を中心に、"Acqua e sapone" "Swatch" といった初期の代表曲を交えての29曲を情熱的なしゃがれ声のヴォーカルと卓越した演奏力で聴かせてくれます。中でも Disc 1 終盤の "Al tuo fianco" から始まるアコースティック編成によるメドレーは聴き物です。Disc 2 最後にはボーナスとして The Rolling Stones の "As tears go by" のカバー曲 "Con le mie lacrime" と "Porno in TV" の新録バージョンが収録されています。

Incontri

Riccardo Sinigallia / incontri a meta' strada (2006) Ariola, 82876865982. (全10曲)

バンド編成だった頃の Tiromancino の主要メンバーの一人だった Riccardo Sinigallia のソロ2作目となる最新アルバム。Riccardo Sinigallia (p, synth, vo), Daniele Sinigallia (g, mandlin), Laura Arzilli (b, vo) の3人を中心に多数のゲストを迎えて録音されています。オープニングの端正なピアノに導かれた "Finora" から彼の優しげなヴォーカルと Tiromancino 時代から培った音響系のサウンドがいい具合に融合しています。続く "Laura" でも囁きかけるような歌声を包み込むようなエフェクトの掛かったピアノなどのバッキングが夢想感を漂わせています。"Amici nel tempo" はスピード感のあるアップテンポの曲で、初期 Alan Sorrenti を想起させるようなアシッド感覚を持っています。Tromancino 時代の同僚 Francesco Zampaglione がピアノとギターで参加している "Il nostro fragile equilibrio" では囁くような歌声と響きを大切にしたバッキングが相まって静謐な音世界が構築されています。"Impressioni da un'ecogrofia" は静謐な中にもサイケデリック感覚を持った曲で、終盤のヴォーカルの炸裂具合が Alan Sorrenti の初期の頃との共通点を感じます。曲調の振幅が少ないのが気にはなりますが、非常に個性的なアーティストなので音響系に興味がある人には特にお薦めです。

Dada

Mercanti di Liquore / Live in Dada (2006) V2 Records, VVR1038482. (CD全15曲 DVD全10曲) CD+DVD

Fabrizio De Andre' の追悼ライブ盤 "FABAR" に参加したことで知られるパワー・フォーク・トリオ Mercanti di Liquore の最新ライブ・アルバム。メンバーは Lorenzo Monguzzi (vo, ac-g), Piero Mucilli (acord, key), Simone Spreafico (cl-g) で、サポート・メンバーなしの3人だけで収録されています。オープニングの "Cecco il mugnaio" から会場からの大合唱(主にお姉さん方)を受け非常に盛り上がっています。"La semi-automatica" ではワルツのリズムに乗せてギターのカッティングとヴォーカルの間をすり抜けるようなアコーディオンの調べが印象的な曲です。"Canzonetta" はリズミカルなダンスチューンで、ギターが織りなす軽快なリズムに乗せて縦横無尽に駆け抜けるアコーディオンが印象的です。Fabrizio De Andre' のカバー曲 "Il gorilla" ではサビの部分を会場が大合唱して曲を盛り上げています。会場の盛り上がり具合を聴くとかなり地元では人気があることが分かる上に、全体的にリズム・セクションの不在を感じさせないほど躍動感のあるライブアルバムに仕上がっていると思います。DVDの方はCDとは収録曲が結構異なるのですが、困ったことにライブ本編にインデックスが振っていないため曲の頭出しができないなど非常に使いにくい仕様になっています。

Mercato

Luca Bassanese / Al Mercato (2006) X-Land, 番号なし. (全14曲)

フォーク・ロック系新人カンタウトーレ Luca Bassanese のファースト・アルバム。オープニングのアコースティック・ギターの爪弾きに乗せて少女の語りによる "Pesci" で始まり、タンゴを思わせるアコーディオンのフレーズが印象的なアコースティック・アンサンブルを中心とした "Al mercato" に続きます。ヴィブラフォーンの響きに導かれて始まる "La luz de un novo dia" ではリズミカルな早口のヴォーカルと力強いコーラスとの対比が印象的です。"Canzone di Marta" はシンプルなピアノのバッキングに乗せて高らかに歌い上げる爽やかな曲で、ホイッスルによるトラッド色の導入が牧歌的な雰囲気を醸し出しています。Fabrizio De Andre' のカバー曲 "Il bambarolo" は早口のヴォーカルとアコースティック・アンサンブルによるバッキングにより勢いのある仕上がりとなっています。アカペラによるトラッド曲 "Terra adorata" での力強い歌唱と、それに続く "Confini" での軽やかなヴォーカルとの対比などアルバム構成も練られています。ラストの "Il 20 luglio 2001" では印象的なトランペットによるイントロに続いてノスタルジックなメロディに乗せて感傷的なヴォーカルを聴かせてくれます。決してメインストリームに出てくるようなアーティストではないものの、アコースティック感覚を好む方にとっては今後が期待される新人だと思います。

Banco

Banco del Mutuo Soccorso / Banco (1983) CBS, 82876683722. (全8曲)

ベテラン・プログレ・バンド Banco del Mutuo Soccorso が'80年代にポップ・フィールドにシフトしてからの3作目となる1983年作のCD化再発盤(リリースは2006年)。前2作では中途半端な感じが否めなかったポップ化ですが、本作では何か吹っ切れたような躍動感のあるポップ・センスを披露しています。オープニングの "Ninna nanna" から女性コーラスを従えた Francesco Di Giacomo の軽やかなヴォーカルにツイン・キーボードによるカラフルなサウンドが絡み合う Banco ならではのポップ・チューンを楽しめます。今でもライブでよく演奏される "Moby Dick" はメンバーによるコーラスを多用した爽やかな曲で、サビで Francesco が高らかに歌い上げるところが印象的な佳曲です。Gianni Nocenzi の端正なピアノの調べに乗せて歌い上げる "Piovera'" もシンプルな構成ながらもメロディの良さが全面に出た美しい小品です。アルバム・ラストは 1st & 3rd のラストを飾るインスト・ナンバー "Traccia" シリーズの第3弾 "Traccia tre" で締めくくられています。どの曲も4〜5分の小品ながらストレートな曲調に似合わず Banco ならではの編成を生かした繊細なアレンジが加えられ、極上のポップ・アルバムに仕上がっています。

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