Musicadentro

第121号 (07/07/2012)

梅雨のジメジメした日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?前回の更新から8ヶ月以上経ち、 もう更新されないのではないかと思った方も多いと思いますが、ようやく Pooh の来日公演後の脱力感から脱出し、更新に割ける時間もできるようになりましたので、今後ともよろしくお願いします。 今回はこの春先から初夏に発売されたアーティストの新譜を中心にお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Cesare Cremonini / La teoria dei colori (2012) Universal Music, 0602537031696. (全11曲)

元 Lunapop という肩書きが不要になるほどの人気カンタウトーレ Cesare Cremonini の約3年半振りとなる4thアルバム。今回は一部 Alessandro Mognanini (g, key) らとの共作があるものの、ほぼ全曲彼自身の作詞・作曲になっていて、全ての曲で彼自身がピアノやギターを演奏しています。また、今回も Lunapop 時代からの盟友 Nicola "Ballo" Balestri (b) がサウンド面を支えています。オープニングの軽快な "Il comico (Sai che risate)" から卓越したポップ・センス溢れるメロディを歌いあげる爽やかなヴォーカルを堪能できます。軽いノリのロックンロールが楽しめる "Stupido a chi?" や哀愁のあるメロディをしっとりと歌いあげる "L'uomo che viaggia fra le stelle"、Ligabue を思わせる力強いロック・ナンバー "Non ti amo piu'" など曲のバリエーションも豊富で、どの曲もシングル・カットされてもおかしくない程のクオリティの高い楽曲で埋め尽くされています。 ピアノとストリングスをバックにしっとりと歌いあげる "Amor mio" や、囁きかけるようなヴォーカルが印象的な"Tante belle cose" のような引きの美学を兼ね備えた曲が増えているのも魅力の1つです。ラストは哀愁たっぷりのメロディを情熱的に歌いあげる "Il sole" で締め括っています。なお、初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
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Mariella Nava / Tempo Mosso (2012) Calycanthus, 0207848EIT. (全15曲) CD-Text

中堅カンタウトリーチェ Mariella Nava の約5年振りとなる最新オリジナル・アルバム。全曲彼女の作詞・作曲で、ピアノとキーボードも自身で弾いています。 端正なピアノに導かれて始まるオープニングの "Ci sono pensieri" から上下動の激しい独特のメロディをダイナミックに歌い上げるいかにも彼女らしいボーカルを堪能することができます。続く "Come un amore" では包み込むようなストリングスをバックに詩情溢れるメロディを情感たっぷりに歌い上げています。囁きかけるような序盤から一気にドラマティックに展開す る "In nome di ogni donna" や、フォーク・ロック色の強い "I giovani del mondo"、ほのかにジャズの影響を感じさせる "Fammi di decidere" など曲毎にヴォーカル・スタイルを微妙に変えるなど、実力派ならではのこだわりが随所に感じられます。ドラマティックなメロディをダイナミックに歌い上げ る "Tutto il tempo" のような彼女の得意な楽曲を各所に配し、アルバム全体の構成にメリハリをつけています。 なお、初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。

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La Fame di Camilla / L'attesa (2012) Universal Music, 0602527939858. (全13曲) CD-Text

2007年に Bari で結成されたロック・バンド La Fame di Camilla のニュー・アルバム。前作がサンレモ参加曲にファーストの主要曲を加えたコンピレーションだったので、新曲のみで構成されたオリジナル・アルバムとしては 2作目となります。メンバーは不動の Ermal Meta (vo, g, p), Giovanni Colatorti (g), Emanuele (Lele) Diana (ds), Berardino (Dino) Rubini (b) の4人編成です。畳みかけるように始まるオープニングの La stagione dell'amore silenzioso" からファルセットを含むハイトーン・ヴォーカルと力強い演奏を聴かせるドラマティックな楽曲に仕上がっています。続く "Crescere" では叙情的なメロディをしっとりと歌いあげ、"Solo una scia" では力強いリズムに乗せて爽やかなコーラスを聴かせるなど、アルバム構成にも工夫が見られます。端正なピアノをバックに切々と歌いあげる "Rivoluzione" や、軽快なロックン・ロール・ナンバー "Susy e l'infinito"、アンビエントな響きを生かした染み入るような哀愁を感じさせる "Astronauti" に、アコースティック色の強い "Niente che ti assomigli" やしっとりとしたバラードの L'altra meta'"など以前の作品に比べてさらに曲のバリエーションが広がっているところが好印象です。 エレポップ調の "Bye bye, baby" に続いて、哀愁を帯びたメロディを囁きかけるように歌う "Un pezzo di cielo in piu'" でしっとりと幕を閉じます。
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Paola Turci / Le sorie degli altro (2012) Universal Music, 0602527989396. (全8曲) CD-Text

既にベテランの域に達しているカンタウトリーチェ Paola Turci の約2年振りとなるニュー・アルバム。Attraversami il cuore (2009), Giorni di rose (2010) に続くミニ・アルバム3部作の最終章となっています。今回もほとんどの曲を共作を含めて彼女自身が手掛けており、 アコースティック・ギターも全曲自分で演奏しています。オープニングを飾る "La seconda canzone" から哀愁を感じさせるメロディを中低音域を生かした落ち着きのあるヴォーカルでしっとりと歌い上げています。続く "Ragazzi bellissimi" では呟くような序盤から内省的なロックへと展開していく彼女には珍しいタイプの楽曲となっています。 中低音域を生かしたフォーク・ロックの "Figlio del mondo" や、ゆったりとしたリズムに乗せて囁きかけるように歌われるタイトル曲の "Le storie degli altri"、ベースの重厚なリフをバックに呟きに近いヴォーカルを聴かせる "Devi andartene"、ダークなボサノヴァといった感じの "Si puo'" など、アーティスティックな楽曲が並びます。ラストは消え入るような哀愁を感じさせるしっとりとしたバラード "I colori cambiano" で締め括っています。収録曲が8曲と少ないものの、非常に内容の濃いアルバムに仕上がっています。

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Danilo Sacco / Un altro me (2012) E.20, 805362980004. (全11曲) CD-Text

約20年にわたりフロント・マンを務めた Nomadi を健康上の理由で脱退した Danilo Sacco のファースト・ソロ・アルバム。ラストの "Non ho santi in paradiso" を除き、バックを務める面々(Davide Tagliapietra ら)との共作を含めて彼自身の作詞・作曲の楽曲で占められています。1曲目の "Non cammineremo mai" からお馴染の歌声が Nomadi とは異なるフォーク・ロック色の強いメロディを歌いあげるのに驚きを覚えます。続くタイトル曲の "Un altro me" でもアコーディオンの響きを生かした哀愁のあるフォーク・ロックを聴かせてくれます。Nomadi 時代に近いポップ・ロックの Aprimi" や "Cane" では彼特有の歌い回しも聴くことができ、哀愁を感じさせるメロディをシンフォニックなアレンジで聴かせる "L'Aurora" やしっとりとしたバラードの "Non ho che te" などのソロならではの楽曲も取り混ぜて、バリエーションも豊富でバランスの取れた楽曲が収録されています。 哀愁のあるメロディとエスニックなコーラスが印象的な "Mekong" に続いて、ラストは Massimo Bubola のペンによる軽やかなフォーク・タッチの "Non ho santi in paradiso" で締め括っています。


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