Musicadentro

第122号 (12/08/2012)

相変わらず暑い日々が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今回はこの初夏から夏に発売されたアーティストの新譜を中心にお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Paolo Vallesi / I live you... (2012) Cama Records, 0208143CAI. (全16曲) CD-Text

'90年代に活躍した中堅カンタウトーレ Paolo Vallesi のベスト盤だった前作から約9年振りの最新作となるライブ・アルバム。Marco Colavecchio (b, cho), Benny Di Zazzo (g, cho), Daniele Chiantese (ds), Alfredo Musollino (key, p), Elisa D'Arpino (cho) による5人のバンドを従え、自身もピアノとギターを演奏しています。オープニングのイントロに引き続き、のっけからノリのいいヒット曲 "Sempre" で力のこもったヴォーカルを聴かせてくれます。5枚のオリジナル・アルバムから万遍なく選曲されていますが、ラテン・テイストを前面に押し出した "La Shambra (questo io farei)" といった(多分)新曲やベスト盤にも収録されていたシングル曲 "Un giorno normale" といったレアな曲もやっています。さらにオンライン配信のみの先行シングルとして発表された "E' bastato un momento" のライブ・バージョンも収録されています。彼の特徴であった力強いヴォーカルを聴かせる "Grande" や 叙情的な "Piramidi di luna" など懐かしい楽曲が並び、収録曲数が実質15曲とやや少ないものの、ベスト選曲のライブ盤となっています。ラストはメンバー紹介に続き、アンコール曲の "La forza della vita" を観客の大合唱を従えてしっとりと歌い上げて幕を閉じます。秋には新曲によるニュー・アルバムも予定されているようなので、 今後の活躍にも期待しましょう!
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Silvia Anglani / Complice feat. Michael Rosen (2012) Controvento, CTV152. (全13曲) CD-Text

ジャズ系女性ヴォーカリスト Silvia Anglani の初ソロ・アルバム。サックス奏者の Michael Rosen を全編にわたってゲストに迎え、ジャズ・テイスト溢れる軽妙なポップスを聴かせてくれます。軽快なサックスに導かれたオープニングの "Odio dicembre" からスタイリッシュな演奏に乗せた軽やかなヴォーカルを聴かせてくれます。続く "Conversazione" では随所にサックスとの掛け合いを含んだキュートな歌声が魅力的です。ムーディーなヴォーカルを聴かせる "Le pantofole col Marabu'" ではバンドネオンの調べが異国情緒を醸し出しています。サックスによるオブリガートが印象的な "Bassamarea" や "Demonangel" などゲストの Michael Rosen のサックスも大々的にフィーチャーされ、バンドネオンが活躍するラテン・テイスト溢れる "Il rimedio" では艶やかな歌声を披露するなど、大人のための極上のヴォーカル・アルバムといった風情になっています。 なお、初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。

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Massimiliano D'Ambrosio / Novembre. (2012) Latlandite, LAT 131. (全11曲) CD-Text

2005年にデビューした Roma 出身のカンタウトーレ Massimiliano D'Ambrosio の約3年振りとなるサード・アルバム。ほぼ全曲自身で作詞・作曲しており、一部アコースティック・ギターも自分で演奏しています。 アコースティック・ギターのカッティングに乗せて軽快に歌われるオープニングの "La ballata delle donne" からアコーディオンやバイオリンを絡めた Angelo Branduardi を想わせるほのかにトラッドの香りを漂わせたフォーク・ロックを聴かせてくれます。悲壮感が漂う "Lettera dalla Palestina" ではシリアスなテーマを淡々と歌い上げ、故 Fabrizio De Andre' からの影響も感じさせます。後期の De Andre' を想わせる地中海色のあるメロディを軽やかに歌う "Rosa" も印象的です。マイナー調のメロディを囁きかけるように歌う "La sfida" や、中世音楽からの影響を感じさせる "Aprigli la testa" など曲調は地味ながらも、曲のバリエーションは豊富で飽きさせません。初期の Mauro Pelosi からの影響を感じさせる諦念感漂う "Jesus" のような個性の強い曲もあり、一筋縄ではいかない感じも魅力の1つです。自身がアコースティック・ギターを奏でるラストの "Amore a dieci euro" では、本編の後に無音部分に続きアコギによるエンディング・テーマが収録されています。
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Grazia Negro / Ragazze forty (2012) Etnagigante, 0208005EIT. (全12曲) CD-Text

Roy Paci & Aretuska との活動で知られるトランペットやアコーディオンも演奏する Lecce 出身のジャズ系カンタウトリーチェ Grazia Negro の初ソロ・アルバム。共作を含め大部分の曲を自身で手掛けており、プロデュースも自身と Roy Paci が行なっています。自身が奏でるフルーゲルホルンの調べに導かれてファンキーなヴォーカルを聴かせるオープニングの "I carj" ではゲストの Tayone のスクラッチが中間部を彩ります。続く "L'asronave" では Daniele Di Bonnaventura によるテクニカルなバンドネオンをバックにムーディーな歌声を聴かせてくれます。Roy Paci とのツイン・トランペットによるファンキーな演奏を聴かせる "Mi viene un brivido" や Roy と Daniele を大々的にフィーチャーしたラテン・テイストの "Sola cammino" でのアコーディオン・プレイなど演奏家としての腕前もかなりのものです。Roy Paci & Aretuska でのキャリアをダイレクトに感じさせるファンキーなダンス・ミュージック "Pizzicapoeira" や Mauro Ermanno Gionanardi をゲスト・ヴォーカルに迎えてしっとりとした歌声を聴かせる "Il sogno di volare"、ミュージカル "Mame" からの "If he walked into my life" のカバー曲 "Se tornasse caso mai" など曲調もバリエーションに富んでいて楽しいアルバムに仕上がっています。

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Finley / Fuoco e fiamme (2012) Gruppo Randa, 95453171-1. (全13曲) CD-Text

4人組の若手ロック・バンド Finley の約2年振りとなる最新アルバム。メンバーはオリジナルの Marco "Pedro" Pedretti (vo), Carmine "Ka" Ruggiero (g, vo), Danilo "Dani" Calvio (ds, vo) と新加入の Ivan Moro (b, vo) の4人で、全曲メンバーの共作ということになっています。叙情的なオープニングから一気にハードなサウンドへと変貌を見せる1曲目の "In questo istante" から彼らの持ち味である直線的なノリが楽しめます。パンキッシュなリズムが畳みかける "Fuego" ではシンプルなロックン・ロールを聴かせてくれます。Edoardo Bennato がゲストでヴォーカルを聴かせる "Il meglio arrivera'" は息の合ったコーラスをフィーチャーした軽快なポップ・ロックに仕上がっています。重厚なリズムと攻撃的なギターが印象的なタイトル曲の "Fuoco e fiamma" や叙情的なメロディをしっとりと歌い上げる "L'unica paura che non ho"、軽快なブギーを聴かせる "Bonny e Clyde" など曲調にも変化を持たせ、一本調子に終わらない工夫が見られます。なお、本編ラストにはボーナス・トラックとして "Olympia (The sound of my nation)" が追加収録されています。初回盤はデジパックサイズの3面折り紙製ジャケット仕様となっています。


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