Musicadentro

第129号 (26/01/2014)

厳しい寒さが続き体調管理が大変な季節になりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?新年一発目の 今回は昨年秋〜冬に発売された作品の積み残しとして、イタリアン・シンフォの新譜特集をお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Méséglise / L'assenza (2013) Lizard Records, Lizard CD 0099. (全12曲)

'80年代後半から活動しているシンフォニック・ロック・グループ Sithonia の Marco Giovannini (vo), Paolo Nannetti (key, cho) に Maurizio Lettera (ds) を加えた3人による歌ものシンフォ・プロジェクト Méséglise のファースト・アルバム。Sithonia の Roberto Magni (g), Oriano Dasasso (p, key), Valerio Roda (b) の3人とカンタウトリーチェの Maya Seagull (g, cho) をサポートに迎えて制作されています。どの曲も2〜4分台の小曲ながら、きらびやかな音色のキーボードを中心とした端正なアレンジが施され、力強く伸びの あるヴォーカルを生かした歌ものシンフォ作品が続きます。短いながらも展開の大きいオープニングの "16  Marzo" をはじめ、リリカルなピアノに導かれシンフォニックなギターが活躍する "Il fiore e la finestra" や、ピアノとアコーディオンの絡みが哀愁漂う地中海色の強い "Stelle di Lefkos" など魅力的なメロディを多彩なアレンジ盛り上げる楽曲が多く、非常に楽しめるアルバムとなっています。
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Il Fauno di Marmo / Canti, racconti e battaglie (2013) Andromeda Relix, AND 33. (全9曲)

Monfalcone 出身のヘヴィ・シンフォ・バンド Il Fauno di Marmo のオフィシャル・デビュー・アルバム。メンバーは Luca Sterle (vo, fl), Valerio Colella (g, el-p, vo, cho), Alberto Ballare' (b, cho), Francesco Bonavita (org, key, p), Luca Carboni (ds) の5人編成です。基本的な音像は Quella Vecchia Locanda のファーストに近く、Jethro Tull の影響を感じさせる吹き荒ぶフルートが大活躍しています。オープニングの "Benvenuti al circo" ではゲストの女性ヴォーカルとバイオリンを加え、ハードかつクラシカルな展開を見せる楽曲を盛り上げています。吹き荒ぶフルートが暴れまくる "Madre natura" ではジャズ・ロック的な展開も聴くことができ、11分を超える "Hop Frog" では目まぐるしく展開していく楽曲を怒濤の演奏で聴かせてくれます。また、Quella Vecchia Locanda の "Un villaggio, un'illusione" のカバーも収録されています。初回盤パッケージはデジパック仕様で、表面にバンド名を印刷し忘れたのか外装フィルムの上にバ ンド名のシールが貼られています。
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Distillerie di Malto / Suono! (2013) Musea, FGBG 4926. (全8曲) CD-Text

1988に結成されたヘヴィ・シンフォ・バンド Distillerie di Malto の12年振りとなるセカンド・アルバム。メンバーは Marco Angelone (g), Fabiano Cudazzo (key), Alessio Palizzi (ds), Fabrizio Pellicciaro (vo, g), Giuliano Torelli (b) の5人編成です。きめの細かいピアノのフレーズで始まるオープニングからゲストのフルートが活躍する "Il guardiano" への流れが絶妙で、畳みかける演奏と力強いヴォーカルの掛け合いが印象的です。2つのパートが収録された "Il suono seducente del sogno" はミステリアスは雰囲気を漂わせたシンフォ作品で、ゆったりとしたヴォーカル・パートから一気に畳みかける爆発力のある楽曲となっています。強引な展開を 聴かせる典型的なヘヴィ・シンフォの "Nemesi" や、技巧的な演奏で怒濤の展開を見せる "Rovescia l'immaginazione e scopri  la realtà"、刻々と変化していく12分を超える大曲 "Lorca e Dalì" など重厚な演奏を楽しみことができる作品に仕上がっています。
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Aurora Lunare / Aurora Lunare (2013) Locanda del Vento, LDV 006. (全9曲) CD-Text

1978年に結成されたクラシカル・シンフォ・バンド Aurora Lunare の35年越しのオフィシャル・ファースト・アルバム。メンバーは Marco Pini (vo, key), Stefano Onorati (p, key, g), Luciano Tonetti (b), Marco Santinelli (ds) の4人編成で、多数のゲストを迎えて制作されています。クラシカルな展開を聴かせるオープニングの "Evasione di un'idea" をはじめ、曲調は Le Orme やBanco などのクラシカル・シンフォ・バンドの影響を感じますが、技巧的な演奏とクールな佇まいは PFM を想起させます。クラシカルなピアノに導かれて複雑な曲構成を圧倒的な演奏で聴かせる "Eroi invincibili.. son solo i pensieri" では Banco や Maxophone の影響をそこはかとなく感じることができます。ジャージーな演奏を聴かせるフルートが印象的な "Mondo fantasmatico" などゲストが大活躍する曲も結構多いです。ラストは Le Orme の "Felona e Sorona" から "All'infuori del tempo / Rittorno al nulla" をゲストに元 Orme の Tolo Marton (g) を迎えて収録しています。初回パッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。

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Entity / Il falso centro (2013) Locanda del Vento, LDV 007. (全7曲) CD-Extra

1994年に Sardegna で結成されたシンフォニック・ロック・バンド Entity のオフィシャル・デビュー・アルバム。メンバーは Mauro Mulas (key), Gigi Longu (b), Marco Panzino (ds), Marcello Mulas (g), Sergio Calafiuma (vo) の5人編成です。イタリアには珍しく後期 King Crimson の影響を感じさせるダークなサウンドを得意としています。リズミカルなピアノに導かれてモノトーンの静謐な世界が描かれる "Davanti allo specchio" に始まり、堅実なリズムをバックに冷徹な音色のギターとキーボードが絡み合う16分を超える大作 "Il desiderio" など、キーボードの音色がやや単調なきらいはあるものの、技巧的な演奏と緻密なアレンジで一気に聴かせてしまう力量があります。また、リリカルなピアノを バックに切々と歌い上げる "Il tempo" や、ピアノとギターがバックを盛り上げる "*Ant*" などのヴォーカル・パートのメロディが魅力的なのも好感が持てます。マルチメディア・トラックを収録した CD-Extra 仕様となっています。

 
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