Musicadentro

第132号 (15/09/2014)

今年は唐突に夏が終焉を迎え、一気に過ごしやすい季節になってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今回はこの春〜夏にかけてリリースされた新譜を中心にお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Danilo Sacco / Minoranza rumorosa (2014) e20 sound, CD-E-10.14. (全12曲) CD-Text

約20年にわたりフロント・マンを務めた Nomadi を2011年に健康上の理由で脱退した Danilo Sacco の約2年振りとなるセカンド・ソロ・アルバム。共作に名を連ねる Valerio Giambelli (g, bouzuki), Andrea Mei (p, key), Davide Tagliapietra (ac-g) などがバックを固め、アレンジも Davide Tagliapietra が担当しています。ブルース色のある演奏とヴォーカルが印象的なオープニングのタイトル曲 "Minoranza rumorosa" で始まり、Nomadi 時代を感じさせるロック・バラード "Novembre mattiana" へと連なる導入部から彼の力強いヴォーカルを堪能することができます。しっとりとしたバラード "Emilie" や、バグパイプが鳴り響くトラディショナルな "Erin"、唸りを上げるオルガンをバックに歌い上げる "Ti aspetterò per sempre" など各曲のアレンジにも工夫が施されています。シンプルなロックン・ロールの "Nati per vivere" や、勢いのあるフォーク・ロックの "Io non voglio più"、Davide Tagliapietra のギターの爪弾きに乗せてしっとりと歌い上げる "Niente è per sempre" といった雰囲気を変える曲を挟みながら、最後は壮大なバラード "She said 'Non credere'" で締め括っています。初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。
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Sonohra / il viaggio (2014) Associazione Sonohra, BLVIT2014003. (全10曲) CD-Text

2008年にデビューした Luca Fainello と Diego Fainello の Fainello 兄弟によるポップ・デュオの約2年振りとなる最新アルバム。収録曲の多くは Diego 作曲、Luca 作詞でソングライター・チームとしての結束もうかがえます。オープニングの "Corri e non fermarti" から息の合ったコーラスとキレのある演奏で極上のAORを聴かせてくれます。続く Claudia "Cloe" Sala がゲスト参加したメローな "Oltre i suoi passi" では、彼女の歌声との対比が曲のスケールをアップしています。Enrico Ruggeri が詞を提供したカントリー調のタイトル曲 "Il viaggio" では Modena City Ramblers がバックを固め、"Solo" ではHip-Hop 調のヴォーカルを聴かせてくれます。静謐な響きを湛えた "Incantevole" や、エレポップ色のある "Cos'è la felicità"、柔らかい音色のストリングスとバンジョーの響きの対比が印象的な "Il mondo che vorrei" など曲のバリエーションも幅広く、飽きの来ない構成になっています。穏やかなフォーク・ロックの "Le parole che non hai detto mai" のような初期からのイメージを残した楽曲もありつつも、大人のアーティストへと成長していく過程が反映された力作だと思います。 初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。
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Novecento / a new day (2014) Nicolosi productions, nic 121. (全11曲)

'80年代にディスコを基調としたサウンドで活躍していたポップ・バンド Novecento の約6年振りとなるニュー・アルバム。メンバーは Dora Nicolosi (vo), Lino Nicolosi (g), Pino Nicolosi (p, key), Rossana Nicolosi (b) の4人編成で、ドラム・パートは Lino がプログラミングしています。オープニングを飾るタイトル曲 "A new day" ではシンフォニックなアレンジをバックに Dora の柔らかい声質のヴォーカルが冴え渡り、続く "Artic" はエキゾティックなコーラスに導かれたミステリアスな雰囲気を湛えたインスト曲となっています。軽やかなヴォーカルが印象的なポップ・ナンバー "For a moment" や、ラストにアコースティック・バージョンも収録されているしっとりとしたバラードの "Anytime"、キーボード・オーケストレーションをバックに美声を聴かせる壮大な "It's time to go" など女性ヴォーカル・ポップスの王道のような楽曲が並びます。本編最後には Gregg Kofi Brown with Sting のカバーである "Lullaby to an anxious child" ではオリジナルの Sting (vo), Gregg Kofi Brown (vo), Dominic Miller (g) が参加しています。またデビュー曲 "Movin' on" を含む新録のアコースティック・バージョンをボーナスとして収録しています。ちなみに全曲英語詞です。初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様と なっています。
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Camillo Pace / autoritratto (2013) Digressione music, DCTT32. (全11曲) CD-Text

Taranto 出身でコントラバス奏者として活躍してきた Camillo Pace のカンタウトーレとしての初アルバム。収録されている曲は全て彼自身の手によるもので、Vince Abbraciante (accord, org), Giuseppe Giancola (g), Angela Esmeralda Pepe (cho) といったメンバーを中心に録音されています。オープニングの "Una storia che faccia rumore" は軽やかなアコーディオンを中心にしたミュゼット調の曲で、Angela のコーラスが随所でアクセントになっています。続く "Il viaggio" はリズムを刻むギターをバックに呟くように歌われる Francesco De Gregori を想わせる地味目の曲ですが、鳴り響くトランペットなど何気にアレンジに凝っています。コロコロとした音色のピアノを中心とした幾分コミカルなインスト曲 "Passeggiando con il sole" を挟み、コーラス隊を率いて淡々と歌い上げる "Maisha" や、弾むようなリズムを紡ぎ出すギターを中心にしたカントリー色の濃い "E allora balla"、コントラバスのみのインストの小品 "Al tramondo" を挟んでブラスセクションが活躍する "Ho scritto una lettera" など、地味ながらも彼の出自を生かした細部に凝りまくったアレンジを施した楽曲が続きます。 初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。

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Tiromancino / Indagine su un sentimento (2014) Columbia, 88843026822. (全10曲) CD-Text

初期のバンド編成の後、しばらく Federico Zampaglione (vo, cho, g, p & key) のソロ・プロジェクトと化していた Tiromancino ですが、バンド編成時に主要メンバーだった Francesco Zampaglione (ds, b, perc, synth, g) が復帰して Zampaglione 兄弟によるユニットとなって発表された約4年振りとなる最新アルバム。オープニングの "Liberi" からギターの深遠な響きと艶やかな音色を生かしたキーボードによる音響系のサウンドをバックに淡々と歌い上げています。続くエレポップ調の "Immagini che lasciano il segno" では波打つリズム・パターンにストリングス系のキーボードが覆い被さり、幻想的な雰囲気を湛えています。軽やかなリゾート・サウンドを繰り広げる "Fuggevolo presenze" や、静謐なピアノをバックに陰影のあるメロディを淡々と歌い上げる "Mai saputo il tuo nome"、One Dimensional Man などで活躍する Pierpaolo Capovilla (vo, b) がヴォーカルを披露する "In una notte di marzo" など曲のバリエーションも比較的豊富で飽きさせません。トランペットを交えた叙情的なアレンジをバックにしっとりとしたヴォーカルが印象的な "La nostra realtà" や、力強い歌声を聴かせるリズムを強調したタイトル曲 "Indagine su un sentimento" などヴォーカルの魅力を感じさせる曲も多いです。

 
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