Musicadentro

第41号 (14/10/2001)

皆さんご無沙汰しております、いかがお過ごしでしたでしょうか。今回はイタリアで入手してきたCDを中心にお送りします。今回は新譜は少なかったのですが、再発物は充実していました。順次紹介していきますのでお楽しみに。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Verdena / Solo un grande sasso (2001) Black Out, 586 378-2. (全12曲)

Bergamo 出身の Alberto (g, vo), Luca (ds), Roberta (b) の3人組のロックバンド Verdena の2年ぶりとなるセカンドアルバム。前作に引き続き全曲とも作詞 Alberto Ferrari 作曲はバンド名義となっています。オープニングの "La tua fretta" は Alberto の奏でるアコギとメロトロンに彼のヴォーカルというほとんどソロ作品のような曲で、アルバムの静の部分を担っています。続く "Spaceman" では一転して迫力あるバンド・サウンドが全開し、畳み掛けるようなリズム・セクションが印象的です。"Starless" では3人ほどゲストを迎えてダークでヘビーなロック・サウンドを聴かせ、弦楽器とノイジーなギターによる奇妙なアンサンブルを展開しています。本作ではメロトロンが結構多用され、ヘビーなサウンドのバックから滲み出てくるような音使いが印象的です。全体的には強固なリズム・セクションの上をノイジーなギターが暴れ回る曲が多いので、純粋なポップス・ファンにはきつい部分もあるかも知れませんが、若いエネルギーがあふれかえっている実に爽快なアルバムに仕上がっています。ちなみにアルバム先行マキシ・シングルだった "Spaceman EP" からはタイトル曲のみの収録で、3曲がアルバム未収となっています。

Tiromancino / La descrizione di un attimo (2000) Virgin, 848972 2. (全10曲)

'90年代初頭から活躍するバンド Tiromancino の3年ぶりとなる5thアルバム。メンバーは Federico Zampaglione (g, b, key, vo), Francesco Zampaglione (g), Laura Arzilli (b, vo), Riccardo Sinigallia (key, g, b, vo) の4人編成で、本作は多数のゲストミュ-ジシャンを迎えて制作されています。1曲目の "Il peggio non è tranquillo" から彼ららしい穏やかなリズムによるとらえ処のないミクスチャー・サウンドを堪能できます。タイトル曲の "La descrizione di un attimo" は軽快なリズムの上を淡々としたヴォーカルと囁くようなコーラスが乗る曲で、シングルとしてヒットしたようです。"Due destini" はオーケストラをバックに叙情的な一面を聴かせる哀愁あるヴォーカル・ナンバーに仕上がっています。"Muovo le ali di nuovo" は Laura のコーラスが大々的にフィーチャーされた Hip Hop ナンバーで、淡々とした曲調が彼ららしいです。アルバムのラストを飾る "Roma di notte" はオープニング同様、穏やかなリズムによる実験的なアプローチを聴かせてくれます。

Pupo / Gelato al cioccolato (1979) RCA, 74321872502. (全10曲)

BMG Ricordi の廉価盤再発シリーズの Gli Indimenticabili Series からCD化再発された Pupo こと Enzo Ghinazzi の'79年制作のセカンドアルバム(2001年リリース)。シングルヒットした1曲目の "Forse" から彼の独特のトーンのヴォーカルが全開し、ポップでかつ憂いを含んだ曲がオーケストラのサポートを得て盛り上がっていきます。"Atomino" ではこれまた彼らしい軽快なリズムによるとびきりポップな曲で、ポップ・カンタウトーレの面目躍如といったところです。"Gabriella" ではメインのメロディ・ラインとコーラス部分との重なり具合に既に彼らしい特徴が聴けるのが印象的です。"Io solo senza te" はトロピカルなアプローチを見せる曲で、南国風の開放的な雰囲気が楽しめます。また、"Ti ricordi" はサビの部分での英詞を含むオールディーズ風の仕上がりになっています。タイトル曲の "Gelato al cioccolato" は切ない感じのヴォーカルをアップテンポで聴かせる彼の定番の曲調となっています。まだ若々しい彼のヴォーカルと、2作目にして既に完成の域にあるアーティスト・スタイルを楽しめるアルバムとなっています。唯一惜しいのは収録時間が30分強と短いところでしょうか。

Marco Ferradini / Misteri della vita (1985) Spaghetti, 74321747122. (全8曲)

前号でも紹介したベテラン・カンタウトーレ Marco Ferradini の'85年制作の6thアルバムのCD再発盤(2000年リリース)。本作でも全曲共作を含め自身で作詞・作曲をしてます。オープニングのタイトル曲 "Misteri della vita" は当時流行のエレポップ的なアレンジながら、彼らしい哀愁を含んだ歌声により陳腐な印象を与えないポップなナンバーになっています。"Due gelati" は穏やかで暖かみのある彼のヴォーカルを楽しめるスロー・バラードで、控えめなストリングスがバックを彩っています。"Caterina" ではファルセットを多用し、軽快で楽しげな曲を盛り上げています。また、ピアノの調べに乗って始まる "Quando un amore" では切々と訴えかけるようなヴォーカルが印象的です。実は先月イタリアに行った時に、テレビでやっていた'80年代のヒット曲の特集番組 "La notte vola"(CDも出ています)に出演していたのを見たのですが、他のアーティストと共に元気な歌声を聴かせてくれていました。

Marcella Bella / Le più belle canzoni (1988) Columbia, COL 473785 2. (全12曲)

'70年代初頭から活躍を続けるベテラン女性シンガー Marcella Bella の'80年代のCBS在籍時の楽曲からなるベストアルバム。"Marcella Bella" ('81), "Problemi" ('82), "Nell'aria" ('83), "Nel mio cielo puro" ('84), "Senza un briciolo di testa" ('86), "Tanti auguri" ('87) の6枚のアルバムから選曲されています。'70年代のパンチの効いた威勢のいい歌声とは異なり、1曲目の "Tanti auguri" から大人の女性を意識したセクシーかつしっとりとした曲が並んでいます。アップテンポの "Nel mio cielo puro" でのキュートなヴォーカルや、Aldo Banfi によるキーボードオーケストレーションが印象的な "Nell'aria" など聴き所がいっぱいです。また、"Canto straniero" は珍しく Dario Baldan Bembo のペンによる曲で、その他はほとんどが実兄の Gianni Bella の作曲となっています。"L'ultima poesia" ではその Gianni Bella とのデュエットを聴かせてくれます。ラストは Battisti の名曲のカバー曲 "Ancora tu" で締めくくっています。この時期の各作品は未CD化または既に廃盤だったりするので是非ともCD再発して欲しいものです。

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