Musicadentro

第75号 (05/05/2006)

未だに New Trolls の来日公演の興奮が冷めやらぬ日々が続いています。世間ではゴールデン・ウィーク真っ最中ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回はサンレモ音楽祭関連の2作品と4月の新譜3作をお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Con Me

Nomadi / Con me o contro di me (2006) Atlantic, 5051011271021. (全10曲)

現役最古参バンドの一つ Nomadi の今年のサンレモ音楽祭参加曲を含む約1年半振りとなる最新アルバム。メンバーは前作から変動がなく6人で、現メンバー構成となってすでに7年目に突入していることから鉄壁のアンサンブルが楽しめます。また、今回は2曲ほどサックスの Paolo Fresu がゲスト参加しています。ギターのコードカッティングに導かれて始まるオープニングのサンレモ音楽祭参加曲 "Dove si va" はいかにもサンレモ向きのドラマチックに歌い上げるタイプの曲で、バックに流れる構築的なキーボード群が若手バンドと一線を画するベテランならではの音作りとなっています。続く "Occhi aperti" では骨太のベース音に乗せてゲストの Paolo Fresu のサックスが冴え渡ります。ゆったりとしたリズムに乗せてしっとりと歌い上げるタイトル曲 "Con me o contro di me" では押し寄せるキーボード・オーケストレーションがバックを盛り上げ、ドラマティックさに拍車をかけています。Massimo がヴォーカルを執る "Status symbol" では疾走感のあるストレートなロックを聴かせてくれます。今回は急遽参加することになったサンレモ音楽祭に合わせたことにより、準備期間が短かったのか前作にあったバロック色のある曲やここ数作に見られた地中海色のある曲が含まれていない、Sergio のバイオリンのフィーチャー度が低いという個人的な不満はあるものの、全体的にはベテランらしい構築的な音作りが冴え渡った完成度の高いアルバムに仕上がっていると思います。

L'alfabeto

Michele Zarrillo / L'alfabeto degli amanti (2006) Gli Assolati Vetri, 82876746242. (全11曲)

すでにベテランの域に達したカンタウトーレ Michele Zarrillo の今年のサンレモ音楽祭参加曲を含む約4年振りとなるニュー・アルバム。今回もほとんどの曲が作詞 Vincenzo Incenzo、作曲 Michele Zarrillo のコンビによる作品となっています。また、演奏面でもギター、キーボード、ピアノを自身でこなし、プロデュースとアレンジにも名を連ねるなど気合いの入った作品となっています。冒頭のサンレモ音楽祭参加曲 "L'alfabeto degli amanti" はいかにも彼らしい叙情的なバラードで、包み込むようなオーケストラとシンプルなピアノの調べをバックに切々と歌い上げる佳曲です。リラックスした雰囲気の "L'amore che resta" では優しく語りかけるようなヴォーカルを聴かせてくれます。ギターの爪弾きで始まる "Tutta la vita che c'è" では哀愁を帯びたメロディを情熱的に歌い上げています。きらびやかな音色のギターのリフで始まる "Uno a me uno a te" では軽快なリズムに乗せた軽やかな歌声を聴くことができます。今回も特に突出した部分があるわけではなく、曲のバラエティもいつも通りではありますが、各曲の出来にばらつきがなく安定した完成度を誇る作品になっています。

Pioggia

Delta V / Pioggia. Rosso. Acciaio. (2006) Virgin, 0094635885224. (全14曲) CCCD

クラブ系グループ Delta V のレーベルを移籍してのオリジナルとしては約2年振りの5作目となる最新アルバム。残念ながらEMI傘下の Virgin からのリリースなので、CCCDとなっています。メンバーは中心メンバーの Carlo Bertotti (key, vo), Flavio Ferri (synth, program) に、Feto Forconi (g) と初代女性ヴォーカリストの Francesca Touré を加えた4人編成となっています。1曲目の "Adesso e mai" はサスペンス調のオープニングに続き、キーボード・オーケストレーションに乗せてキュートな Francesca のヴォーカルがクールに歌い上げるのが印象的です。続く "Fuori controllo" は畳み掛けるようなリズムに乗せてミステリアスな音色のキーボードを交えつつ疾走感のあるロック・ナンバーに仕上がっています。"L'assedio" は迫り来るようなリズムが印象的で、サスペンス映画の挿入歌のような緊迫感があります。ノスタルジックな雰囲気に包まれた "Ritornerai" は古き良き時代のカンツォーネを思い起こさせる佳曲です。全体的に架空のサスペンス映画のサウンド・トラックであるかのようなミステリアスな雰囲気で統一されていて興味深いです。

Vulnerabile

Luca Madonia / vulnerabile (2006) Don't Worry, CDY009. (全10曲) CD-Text

Mario Venuti も在籍していた Denovo 出身のカンタウトーレ Luca Madonia の最新アルバム。大部分の曲を本人が作詞・作曲している上にギター・キーボードと演奏面でも活躍しています。軽快なリズムに乗せて始まる叙情的なメロディを持ったオープニングの "Vittima perfetta" から澱みのない爽やかな歌声を聴かせてくれます。続く "Dimmi cosa sarà" では重たいリズムの上をさすらうような哀感のあるメロディを歌い上げています。"Quello che non so di te" ではゆったりとしたリズムに乗せて、情感溢れる彼のヴォーカルとクールな Franco Battiato のヴォーカルの対比が楽しめるデュエットを聴くことができます。Moody Blues のカバー曲 "Nights in white satin" (サテンの夜) は原曲通り英語で歌われ、彼の音楽的背景の一面を垣間見ることができます。コミカルな導入部を持つ "Come cambia il vento" では楽しげなリズムの上を伸びのあるヴォーカルが颯爽と駆け抜けていきます。"Tu sei diversi" では哀愁を感じさせるたおやかなメロディをしっとりと歌い上げています。全体的にAOR色が強いものの、イタリアらしいたおやかなメロディも感じられ、彼の爽やかなヴォーカルを生かした作風で統一されているので非常に聴き易い作品に仕上がっています。

Futura

Luisa Corna / acqua futura (2006) LM Records, 3006979/LMR 005. (全11曲)

女優でもある美人シンガー Luisa Corna のファースト・アルバム。作家陣が充実していて、作詞では Gatto Panceri や Renato Zero、作曲では Fio Zanotti などの名前が連なっており、正統派のイタリアン・ポップスを聴くことができます。オープニングの "Colpa mia" はイタリアらしいドラマティックな盛り上げを見せる曲で、Laura Pausini を想起させるダイナミックな歌唱を聴くことができます。Gatto Panceri と Fio Zanotti のコンビによる "Io non volevo" ではゆったりとしたリズムに乗せて緩急使い分けながらも力強く歌い上げるヴォーカルが印象的です。Renato Zero と Fio Zanotti による "L'ultima luna" では端正なピアノの調べに乗せて情感豊かにしっとりと歌い上げ、歌手としての力量を感じさせてくれます。きらびやかなピアノの調べに導かれて始まる "Strani noi" は包み込むようなストリングスをバックにドラマティックに歌い上げるバラードで、ややハスキーな彼女の歌声が印象的です。ラストの "A te" はシンプルなピアノによるバッキングに乗せて語りかけるように歌われるムーディーな曲で、しっとりとした雰囲気で幕を閉じます。若手女性ヴォーカリストのデビュー作としてはかなり完成度の高い作品に仕上がっていると思います。

ご意見ご感想などあれば以下にご連絡ください。

ただし、メール・アドレスは画像になっていますのでご了承下さい。

音楽の部屋に戻る

バックナンバー・ホームに戻る