Musicadentro

第11号 (12/04/1999)

前回の増刊号に力を入れすぎて、更新の間隔が少し開いてしまいましたが、その分新ネタが手元に溜まってきています。それらは今後の更新時に紹介していく予定ですのでお楽しみに。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Sabato

Paolo Vallesi / Sabato 17:45 (1999) CGD east west, 3984-26226-2. (全14曲)

前作 "Non essere mai grande" 以来、約3年ぶりの最新作(オリジナルとして5枚目)。最近イタリアで多く見かける英米指向のアーティスト(NEK など)と異なり、相変わらずイタリア色の強い力の入った熱い歌を聴かせてくれます。前作では幾分AOR指向が見られたものの、今作ではそれも薄れて以前のような力強さに溢れています。1曲目の "Canto così" ではスコットランド風のバグパイプ音色のキーボードが聴けるなど多少インターナショナルな指向が見え隠れし、曲調も繊細さが幾分薄れてきていますが、出来は非常にいいです。"L'amore è un fiore" "Senza cambiare il mondo" などの力の入った歌声は彼の真骨頂と言えましょう。全14曲トータル63分の力作です。

Miniera

New Trolls / Una miniera (1998) DV Music, MRCD 4101. (全14曲)

イタリアを代表するベテランバンド New Trolls のコンピレーションアルバム。ただし、全曲アルバム未発表音源でどうも放送用スタジオライブ音源のようです(1993年のものらしい)。曲は1stアルバム "Senza orario, senza bandiera" から当時の最新作 "Quelli come noi" まで割りと幅広く収録されています。特筆すべきなのは、 "America OK" "Che idea" "Quelli come noi" "Il treno" といった今までライブ音源で聴くことができなかった曲が収録されていることでしょう。メンバーはジャケット写真を見る限りでは Vittorio De Scalzi, Nico Di Palo, Ricky Belloni ともう一人(Aldo De Scalzi あたりではないかと思います)の4人編成のようです。全曲以前の音源とは異なるアレンジが施されているので聞き所も多いです。

Istantanea

Riccardo Cocciante / Istantanea Tour 98 (1998) Columbia, 37-491853-10. (全31曲)

Claudio Baglioni と並び称されるベテランカンタウトーレ Riccardo Cocciante の1998年のツアーの模様を収録した2枚組ライブアルバム。彼はサイゴン生まれのフランス人で、初期の作品ではフランス語盤も発売していました。デビューアルバムの "Mu" (1972年) の曲から1997年の作品までまんべんなく選曲されており、彼の25年以上に及ぶキャリアを一望できる作品になっています。彼の特徴の最大のものはその歌声で、しゃがれ声で絶叫するスタイルは日本ではあまり馴染みのないものですが、イタリアでは1つのスタイルとして確立しているものです。1枚目は主に '70年代の曲を中心に構成され、2枚目は '80年代と '90年代の曲を中心にしています。ある意味非常にイタリア色の強いアーティストなので、好き嫌いがはっきりと分かれるかと思いますが、一度は聴いてみる価値のあるアーティストだと思います。そういった点からもベスト選曲のこのライブ盤はお勧めできます(ボリュームがありすぎるきらいはありますが)。

Lisa

Lisa / Lisa (1998) PPM, 74321563202. (全10曲)

1998年のサンレモ音楽祭で新人部門で2位、決勝戦でも3位に入賞した Lisa こと Annalisa Panetta のたぶんファーストアルバム。ラテンヨーロッパらしいセクシーなお姉さんによる叙情的なヴォーカルを堪能することができます。曲の多くは かつて Gianni Togni とコンビを組んでいた Guido Morra の作詞、御大 Maurizio Fabrizio の作曲で、当然曲の出来は悪いはずもありません。特に1曲目のサンレモ音楽祭参加曲 "Sempre" は絶品です。また、Lisa Stanfield の曲にイタリア語詞を付けた "Nei sogno miei" や、スパニッシュ風の "Fortuna"、彼女自身が作詞に参加した "Un fiore in te" "Verso il sole" など意欲的な作品が並んでいます。

Scintille

Soon / Scintille (1996) Black Out, 532 421-2. (全12曲)

女性ヴォーカル Odette Di Maio を擁する5人組バンド Soon のおそらくデビューアルバム。編成は vo&ac-g, g×2, b, ds となっています。全曲 Odette Di Maio 嬢の作詞・作曲となっており、彼女がバンドのイニシアチブを握っているようです。タイプとしてはイギリスのギターポップの系統の音で、元 All About Eve の Julianne Reagan 率いる Mice のようなタイプです(分かりにくい例えですみません)。日本で言えばブリリアント・グリーンみたいな感じと言ったほうが分かりやすいでしょうか。1曲目の "Il fiume" から乗りのいいベースラインに Odette 嬢のキュートなヴォーカルが乗るスタイルが展開されています。曲毎にギタースタイルのバリエーションを聴くことができるのも特徴の1つで、ノイジーなギターにエフェクトをかけたヴォーカルを聴かせる "Stasi" や、アンニュイな雰囲気の "Dormi" など一本調子にならずにアルバム1枚を通して聴かせる構成になっています。

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