Musicadentro

第20号 (12/12/1999)

 

めっきり冷え込んできましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。新ネタもかなり集まってきましたので、徐々に紹介していきたいと思います。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Novecento

Antonello Venditti / Goodbye Novecento (1999) Heinz Music, 74321694252. (全9曲)

ピアノの名手として知られるローマ派カンタウトーレのベテラン Antonello Venditti のニューアルバム。彼は見た目がただのオッサンのためか、知名度の割りに取り上げられることが少なく、たくさん作品をリリースしているものの聴いたことがないという人が多いと思いますが、メロディセンスが抜群で印象的な曲が多いのが特徴的です。冒頭のタイトル曲 "Goodbye novecento" は彼自身が弾く安定したピアノの調べに導かれて力強く歌われる1900年代に別れを告げる曲でオーケストラによるサポートも絶妙で感動的です。続く "Shake" はタイトル通り軽快でリズミカルな曲になっています。"Che tesoro sei" はもの静かなバラードで、オーケストラが情感を盛り上げています。"Fianco a fianco" はリズムに特徴があり、呟きから始まりやがて伸びのあるヴォーカルが曲を盛り上げていきます。"Su questa nave chiamata musica" は独特のリズム感のある曲で、ソプラノ・サックスによる感想が印象的です。また、"Lula" もリズムの処理が特徴的な曲で、それにより摩訶不思議な雰囲気が漂っています。全体として曲毎に特徴のあるリズム処理が施されており、アルバムを通して単調にならないように工夫がなされているのがベテランらしいと思います。デジパック仕様でリーフレットが封入されています。

Stesso

Luca Barbarossa / sotto lo stesso cielo (1996) Columbia, COL 483828 2 37-483828-10. (全9曲)

中堅カンタウトーレ Luca Barbarossa の'96年作。ニューアルバムも出ているのですが、まだ聞き込んでいないのでまずはこのアルバムから紹介します。彼のアルバムをまともに聴くのはファーストアルバム以来なのですが、基本路線はほとんど変わらずフォークロック色が強く、明るい感じのものが多いです。全曲で彼自身がアコースティック・ギターを弾いています。1曲目の "Il ragazzo con la chitarra" はタイトル通りギターが大活躍するギターポップ色の強い曲です。続く "Telemercenari" はリズミカルな曲で、ウェストコーストのシンガーソングライターの曲に近いものがあります。"Ciberstrazio" はロカビリースタイルのロックンロール・ナンバーです。"Ali di cartone" は流れるようなメロディを軽やかに歌い上げる美しい曲になっています。"La mela e il serpente" はアコーディオン音色のキーボードとマンドリン奏法のアコースティック・ギターの絡みが印象的な楽しい曲です。また、ラストの "Union maid" はカントリー/ウェスタン調の曲で、彼のルーツミュージックを垣間見ることができます。

Qualcosa

Annalisa Minetti / qualcosa di più (1999) Columbia, COL 495195 2. (全10曲)

昨年('98年)のサンレモ音楽祭で新人部門で優勝した Annalisa Minetti のセカンドアルバム。本作では元PFMの Lucio Fabbri がプロデュースとアレンジを担当しており、数曲で彼がオーケストラの指揮を執っています。1曲目の "La voce della verita'" は Sheryl Crow のカバー曲ですが、その他の曲はイタリアポピュラーミュージック界を代表するカンタウトーレ陣によるものとなっています。2曲目の "Io non ti conosco" は Ron のペンによるもので、彼自身がラップで参加しています。続く "One more time" は Ivana Spagna の作品で彼女もコーラスで参加しています。"Inequivocabilmente tu" は Pooh の Stefano と Dodi のゴールデンコンビによるもので、非常に美しい叙情的なバラードです。"Due mondi" は Mogol/Battisti によるスパニッシュ風の曲で、フラメンコギターが曲にアクセントを付けています。"Si incomincia dalla sera" は Biaggio Antonacci の曲で、物憂げな雰囲気のヴォーカルが印象的です。"La luce in me" は Enrico Ruggeri の作詞で、彼女の伸びのある歌声が楽しめる作品となっています。その他の曲も Eros Ramazzotti や Mariella Nava, Grazia di Michele によるもので、全体として非常にバリエーションに富んだ作品に仕上がっています。

Nomadi / SOS con RABBIA e con AMORE (1999) CGD east west, 3984-29171-2. (全15曲)

ベテランロックバンド Nomadi のニューアルバム。今回は新録によるベストアルバムとなっています。このアルバムの売り上げは世界中の難民や孤児の支援活動に使われるということで、ジャケット内側には彼らがこれまでに行なってきた救援活動の詳細が記されてています。今回も前作から若干のメンバーの変動があり、パーカッションとヴァイオリン担当の Sergio Reggioli が参加しています。1967年の "Dio è morto" から1996年の "20 de Abril" まで各年代の曲がまんべんなく選曲されており、シングル曲も多数収録しています。全曲現編成に合わせた新アレンジが施されており、オリジナル曲を知っている人にも充分楽しめる内容になっています。オルガンによるバッキングが非常に攻撃的な "Atomoca cinese" やバイオリンが大活躍する "Il fiore nero", "20 de Abril"、最初期の Bob Dyran のカバー曲 "Ti voglio" やキーボードオーケストレーションが盛り上げる彼らの代表曲 "Io vagabondo" などが収録されています。紙ジャケ仕様で中央部にスロットインタイプのCDホルダーが付いています。

Dario Baldan Bembo / Le più belle canzoni di: (1999) Polydor, 539 539-2. (全10曲)

作曲家・アレンジャー・キーボード奏者としての方が有名なカンタウトーレ Dario Baldan Bembo の初期作品を集めたベストアルバム。現在では入手困難な未CD化アルバム "Aria" "Crescendo" "Migrazione" などからまんべんなく彼の代表曲が収録されており、これらの作品がオリジナルバージョンで聴ける貴重な作品になっています。1曲目の "Aria" は当時ヨーロッパのイージーリスニング・オーケストラがこぞって取り上げた彼の代表曲です。続く "Viaggio" はピアノがリズムを刻む上を彼の軽やかなヴォーカルが乗る曲で、間奏部での舞うようなフルートが印象的です。"Corale" はタイトル通り荘厳な雰囲気で、女性ヴォーカルとのコラボレーションが美しい歌詞のない曲になっています。どの曲も今となっては時代を感じさせるものとなっていますが、派手なキーボードアレンジが施された曲が多く、非常にイタリア色の強い作りになっています。できればオリジナルアルバムのCD化再発を望みたいものです。

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